レクサスの完全EVブランド化戦略
2021年12月14日に完全EV専業ブランドへと移行することを発表したレクサス。
発表によると2030年までにすべてのカテゴリーにバッテリーEVを投入し、北米・欧州・中国ではラインナップを100%EV化。販売台数は100万台を目標としています。また、2035年までには日本を含む全世界で完全BEV専業になることを目指すとしました。
自動車のモデルチェンジには通常4年以上かかることを考えると、2030年までにレクサスの全カテゴリーにBEVを投入するには、これから市場に投入されるモデルはほとんどBEVとして発売されるか、BEVが選択可能な形で開発されるということになりそうです。
なおトヨタの全社的なEV戦略は以下の記事でも少し触れているので、興味のある方は合わせてご覧ください。
レクサスから発売予定のEV
それでは、レクサスから今後発売が想定されるBEVについて1台ずつみてみましょう。
レクサス IS
FRスポーツセダンのISは、2025年にBEVとしてモデルチェンジするとされています。
すでにLexus Electrified Sedanというコンセプトカーが発表されており、これが次期ISであることはほぼ間違いなさそうです。
2025年といえば、車のスマホ化を目指してトヨタが開発中のアリーンOSが実用化される時期とも一致するため、次期ISではテスラ対抗としてEV化だけではなくスマホ化についてもトヨタの反撃が期待されます。
レクサス TZ
同じく2025年に登場予定なのが3列SUVのバッテリーEVとなるレクサスTZです。
レクサスは2024年に北米で3列シートのファミリーSUVであるTXを発売しており、TZはほぼ同じターゲット層に向けたBEVとして登場するモデルとなりそうです。
トヨタはアメリカ・ケンタッキー州にある工場にBEV製造ラインを立ち上げるための投資計画を発表済みで3列シートのBEV SUVの生産を2025年に始めるとしていることから、TZがこの工場で生産されるモデルであると考えられます。
レクサス ES
レクサスに限らずセダンの人気は年々下降気味で、かつて存在したGSやHSはすでに廃止されています。
ESは北米でまだかなりの台数が売れているため次のモデルチェンジ時期でもモデルは存続すると思われますが、現在のISのようにフルモデルチェンジのスパンは引き延ばされるかもしれません。
そうなると、2030年までに北米での完全EVブランド化達成のために2025年から2026年頃にESもBEVとしてモデルチェンジされても不思議ではありません。
BEVになりグリルがなくなったレクサスはフロントデザインも多様化しており、どのようなデザインになるのかは読めませんが、FR駆動のISがアグレッシブなデザインなのに対してFF駆動で価格帯も上がるESは少し落ち着いたデザインになるのではないでしょうか。
レクサス HZ
トヨタは2023年にHZ350e 450e 550eの3つを商標登録しています。
そのため、レクサスHZという名称のBEVが登場することはほぼ間違いないと考えられます。
ここで以前トヨタが発表したレクサスのBEV予告を見てみると、個別に発表されているレクサスRZ, Electrified Sedan, Electrified SUV, Electrified Sportのほかに、クロスオーバー、ハッチバック、コンバーチブルの3モデルも確認できます。
販売数量が限られるコンバーチブルが優先的に開発されているとは考えづらく、レクサスHZは未確認のクロスオーバーかハッチバックの名称かもしれません。
もしくは、レクサスは以前HSというセダンを持っていたため、ネーミングの規則的にはHZがセダンである可能性もあります。もしかするとLexus Electrified SedanがHZの名称でISに代わって発売されるのかもしれません。
レクサスRC レクサスLC
クーペモデルのRCとLCは存続が危ぶまれます。
他ブランドでもメルセデスベンツSLKやアウディTTなどクーペが相次いで廃止されています。
それでも、レクサスの予告画像の片隅にはコンバーチブルらしきモデルが確認できるため、RCとLCを統合した形でBEV時代もどうにかハードトップコンバーチブルのような形で生き残る道を探っているのかもしれません。
レクサスLF-ZC
2023年のジャパンモビリティーショーで発表されたコンセプトカーがLF-ZCです。
コンセプト通りに発売されればテスラを超えるであろう野心的なモデルと言えるでしょう。
2026年に登場する次世代BEVプラットフォームの第一弾になると思われるこのモデルは、次世代角形電池のハイパフォーマンス版を採用することで以下のような性能を実現するとされます。
- 1回の充電で1000kmの航続距離を実現
- 急速充電20分以下(10-80%充電)
- コストは20%削減(対bZ4X比)
また、2025年から一部の車種で採用が開始されるトヨタが開発中の車載OSアリーンは、2026年の次世代BEVからフル機能が搭載されると公表されており、ソフトウェアで乗り味をパーソナライズすることまで可能になるといいます。
公式発表によると車内でゲームをしながらクルマの設定を調整して、インターネット経由(OTA)でその設定を実際の車両にダウンロード出来るようになるなど、完全にクルマがスマホ化されるようです。
このほかにも、ボディの一体成型技術ギガキャスティングやバイワイヤ技術の採用など新時代の技術を多数取り込む野心的な目標を掲げています。
テスラの新車開発スピードは遅く2026年までに革新的な次世代車が登場する可能性は低いため、LF-ZCの登場でレクサスがテスラを超えて反転攻勢を仕掛ける格好になりそうです。
レクサスLF-ZL
LF-ZLは2023年のジャパンモビリティーショーでコンセプトが発表されたフラッグシップモデルです。発売はLF-ZCよりもさらに遅く2027年以降の登場が想定されます。
クルマのスマホ化はさらに進みアリーンOSのパフォーマンスがフルに発揮されて、社会インフラとの連携やサービスを受けられるといいます。
このあたりの開発はトヨタが東富士に建設中の実験都市Woven cityでの研究成果が実装される予定なのかもしれません。
電動化技術としては、トヨタが開発中の全個体電池が採用される可能性もありそうです。トヨタが2027-28年頃の量産化を目標にしている全個体電池は、LF-ZCに搭載予定の電池からさらに20%の航続距離延長と10分で10-80%の急速充電を目指しているようです。
モデル名が示す通りレクサスのフラッグシップモデルになるため、もしかするとフラッグシップセダンのLSは廃止されて、このモデルがレクサスLZのような名称で最上級モデルとしてLSから置き換わる可能性も考えられます。
レクサスLF-ZV
トヨタはLF-ZCとZL以外にLF-ZVという名称も商標登録しており、未発表のコンセプトカーがあると考えられます。
アルファベットのVはこれまでのレクサスでは使われたことがないためどのようなモデルになるのか推測するのは難しいですが、先に挙げたレクサスのBEVラインナップ予告画像にはハッチバックの背を少し高くしたようなクロスオーバーモデルが写っており、これがLF-ZVの可能性はあります。
レクサスもポルシェ911・ダカールやフォードのマスタング・ラプターのように若干無理やりともいえる感じで車高を高くしたクロスオーバーモデルを出すつもりなのでしょうか。
もしくは、先にも登場したコンバーチブルがLF-ZVであるという可能性もあります。
レクサス LF-ZA
レクサスがもう一つ商標登録を済ませているのが、LF-ZAという名称です。
LF-ZAの名前からは伝説的スーパーカーであるレクサスLFAが連想されます。
すでにLexus Electrified Sportというコンセプトカーが発表されており、全個体電池の搭載に加えて0-100km加速2秒台前半や700kmの航続距離など一部の目標スペックも公表されています。
このコンセプトモデルの発表時にもLFAの開発を継承する形でスポーツEVの開発が進められることが表明されており、レクサスはLFA後継BEVを開発していることを公に発表した形になっています。
LF-ZAがLFA後継BEVの名称なのかはっきりとは分かりませんが、レクサスのBEVスーパーカーには期待せずにはいられません。
まとめ
以上を総合すると今後レクサスから発売されるBEVのラインナップは以下のようになりそうです。
- ISセダンがBEVとなる。
- ESセダンももしかするとBEVになるか。
- 3列SUVのTZが発売される。
- ハッチバックモデルが登場する模様。名称はHZか?
- ハッチバックの背を高くしたようなクロスオーバーモデルやコンバーチブルもある模様。
- LF-ZCコンセプトが2026年に量産されてスマホ化が加速。テスラを超えるか。
- フラッグシップのLSはLF-ZLをベースとしたLZ SUVに置き換えられるか。
- LFA後継のスーパーカーが全個体電池のBEVとして登場。
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