トヨタの人気ミニバンだったエスティマの生産が終了したのが2019年。そのエスティマがどうやらEVになって復活するというウワサがあるようです。
トヨタ・エスティマとは
トヨタのエスティマは、1990年に発売された大型ミニバンで当時としては全く新しいコンセプトで登場した革新的なクルマでした。
エスティマのコンセプトデザインは、トヨタがアメリカに構えるCalty Design Research, Inc.というデザインスタジオが提案を行ったもので「卵」をスタイリングテーマにしています。実際にエスティマ発売後の宣伝にもスタイリングの独自性を訴える「天才タマゴ」というキャッチコピーが使われていました。
Caltyのコンセプトスケッチに描かれているクルマは丸みを帯びたスムーズなシルエットで、30年以上経った今見ても未来的に映るデザインです。もちろん1990年当時も非常にユニークで衝撃的なデザインとして受け止められました。
この未来的なスタイリングを実現するためトヨタのエンジニアたちは、2.4リッターの4気筒エンジンを75度傾けた上で前後輪間のフロア下に設置するミッドシップエンジンレイアウトを採用しました。このユニークな設計によりフラットなフロアに広々とした3列シートを備えた低重心で快適な室内のミニバンを実現したのです。
トヨタのEV戦略
トヨタは以前から脱炭素の実現に向けてハイブリッド車や燃料電池車など様々な動力源のクルマを用意することで世界中のモビリティのニーズに応えながら着実にCO2を減らしていく戦略をとっています。
マルチパスウェイと呼ばれるこの戦略には当然バッテリーEVをラインナップすることも含まれるのですが、ことBEVに限って言えばトヨタの経営陣自身が認めているように想定を超えるスピードで世界的にEV販売が増えたことで、トヨタのBEVラインナップは競合他社に遅れをとっている現状があります。
巻き返し策としてトヨタが正式に発表しているのは、2030年までにレクサスを含めて30車種のBEVを投入し年間350万台の販売を狙うことと、2026年までには10車種のBEVが発売され150万台の販売を目指しているということです。
自動車世界販売台数第一位のトヨタとしては、2026年までに現在BEV販売台数世界トップ2であるテスラとBYDに匹敵する規模まで電気自動車の販売台数を拡大するつもりなのです。
このように2030年にかけてBEV販売の急拡大を狙っているトヨタは、2021年12月の記者発表で一挙に多数のコンセプトカーを発表しました。
まずはbZシリーズから5モデルが紹介されていました。
写真左から、bZ small crossover、bZ3、bZ4X、bZ compact SUV、bZ large SUVです。
bZ3は中国でbZ4Xはグローバルで発売済みで、bZ small crossoverとbZ compact SUVは2023年にそれぞれUrban SUV conceptとSport crossover conceptの名前で正式発表が近いことが予告されています。またトヨタはアメリカのケンタッキー工場でEVのSUVを生産すると発表しており、これがbZ large SUVであると思われます。
またbZシリーズ以外にも、コンパクトクルーザーEVと呼ばれる小型のランドクルーザーのようなモデルや北米で販売されるタコマのようなピックアップトラックのコンセプトが紹介されていましたが、この時点でエスティマに相当するようなミニバンのコンセプトカーは見当たりません。
だたし、のちに中国の上海オートショーでbZシリーズ第6のモデルとしてbZ FlexSpace conceptが発表されているので、まだ未発表車種があると考えるのが自然でしょう。
また、トヨタのBEV販売ロードマップにはMPVタイプのモデルを年間12万台販売する計画が記載されていますが、明らかにMPVであると呼べるようなコンセプトカーは見当たりません。
エスティマEV予想
前置きはここまでにして、次期エスティマEVのエクステリアデザインを予想してみました。
フォルム
まず、全体的なフォルムは当然初代エスティマから引き継ぎタマゴを思わせるラウンドシェイプになることが予想されます。エスティマに限らずEVは空気抵抗を減らしてバッテリーに蓄えられた電気エネルギーをいかに無駄なく使い切るかが重要なため、流線型のフォルムになることはほぼ間違いないと思われます。
また、初代エスティマがミッドシップレイアウトの採用で低重心かつフラットな居室を実現していた点はEVでも引き継がれる可能性が高いです。バッテリーをできるだけ効率的に床下に敷き詰めるためタイヤを四隅に張り出して前後輪の間にバッテリーを収めるパッケージが現在のEVの定番ですので、自然と初代エスティマに近いロングホイールベース・ショートオーバーハングのデザインになるはずです。
フロント
フロントフェイスは、これまでのエスティマに採用されてきた細長いヘッドライトを意識しつつ最近のトヨタ車に採用されているハンマーヘッドデザインに近いヘッドライトになるのではないでしょうか。新型クラウンのように左右一直線につながるヘッドライトを予想します。
フロントグリル部分は、トヨタbZ4XやレクサスRZのように大部分がパネルで覆われて空気抵抗を減らすデザインになる可能性が高いと思います。テスラのようなフロントのトランク(フランク)は他のトヨタのEV同様に設置されないと思われます。
リア
リアに回ってテールランプについては、ヘッドライト同様に一直線に伸びたクロスバーテールライトが採用されるのが濃厚でしょう。最近のトヨタはクロスバーデザインを多用していますし、初代エスティマのテールライトも細長いバーのようなデザインでした。
デザインのアクセントとして、テールライトからボディ下方向や前方向に染み出していくようなラインを構成する確率も高いでしょう。bZ4Xや新型プリウスでも同様のデザインテイストが見られます。
最後にリアスポイラーは、ウサギの耳のように左右に分かれたものになるかもしれません。多くのトヨタ車で採用され始めているので、トヨタとしてはそのデザインが空気抵抗上有利になると考えているはずです。
発売時期・予想価格
発売時期
先述の通りトヨタは2026年までに10モデルの電気自動車を発売すると発表していますが、コンセプトカーとして存在が確認できるbZシリーズが6モデルしかないので、エスティマがEVとして開発されているとするとこの10モデルの中に含まれている可能性が高いと思われます。よって遅くても2026年までにエスティマEVが登場する可能性があります。
予想価格
現在トヨタにはほぼBEVがラインナップされていないのとエスティマ自体も生産終了しているためエスティマEVの価格を予想するのは非常に難しいですが、bZ4Xが550万円からとなっている点とLexus RZが820万円からという2点を考えると、この2車種よりも多い7,8人乗車が想定されるエスティマEVは700万円から800万円を超える価格になることが想定されます。
まとめ
- 公式情報にはMPVのBEVを年間12万台販売する計画が発表されているが、エスティマEVに相当するような電気自動車のコンセプトカーはまだ見られない。
- 発売するとしたら2026年までに、700から800万円近い価格で登場か。
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