GM版センチュリー?ついにクルマのスマホ化は超高級車へ。お値段5000万円超えキャデラック・セレスティックはGMの最高級SDV。

北米動向
出典:キャデラックウェブサイト

キャデラック セレスティックとは

キャデラックは、アメリカの自動車メーカーゼネラルモータースの高級ブランドで、言ってしまえばトヨタでいうレクサス的な位置付けのブランドです。

そんな高級車ブランドであるキャデラックの中でもさらに超高級電気自動車として発表されたのが、セレスティック(Celestiq)です。英語でセレストリアルが天空のとか天国のといった意味なので、セレスティックという車名自体も最高級モデルである事をうかがわせます。

そしてこのモデルのテーマが未来です。数々の最先端テクノロジーが搭載されたセレスティックは、デザイン的にも工業デザイナーで未来画家のシド・ミード氏の絵画に出てくるような1970年代のネオ・フューチャリズムを現代に甦らせたような独特なものになっています。

出典:キャデラックウェブサイト

セレスティックは、111kWhのバッテリー容量で航続距離483km。デュアルモーターの4WDで、600馬力の出力を誇ります。時速100kmまでの加速が3.8秒と高性能ですが、フェラーリのようにハイテクスポーツカーに振っているわけでもなく、ロールスロイスのように100年の伝統を守っているわけでもなく、クルマのスマホ化と超高級車を組み合わせるとこうなるというキャデラックなりの答えが示された格好です。

エクステリア

セレスティックは電気自動車なのでガソリン車のようなフロントグリルは不要ですが、意外にもフロントデザインにはグリルを思わせる装飾が施してあります。それでも一見してヘッドライトがどこか分からないようなデザインは未来感があり、古臭さは全く感じさせません。キャデラックの電気自動車ではリリックやエスカレードIQもフロントは同じデザインテイストなので、キャデラックとしては今後フロントデザインをこの方向性で統一していくものと思われます。

充電ポートについてもパカっと開ける蓋ではなくスライド式のゲートになっており、こちらも未来感と高級感を両立したデザインになっています。

さらに外観をよく見てみるとドアノブがないことに気が付きます。ドアハンドルの代わりに、ボタンを押すことでドアの開閉が電動で行われるということです。

一方、サイドミラーについては北米で電子ミラーが認められていないために20世紀感が強く、全体的に未来感があるデザインを削ぐ要素になってしまっているのが若干残念な点でしょうか。

インテリア

内装で一番目をひくのは、やはりフロントの全面ディスプレイでしょう。左右全体にわたって搭載された55インチのディスプレイには8K相当の解像度を持ったパネルを使用しています。助手席側のディスプレイはスマートフォンの接続やメディアの再生が可能で、デジタルブラインドアクティブプライバシーという技術で運転席側からは見えないようになっているそうです。

また、前席側に11インチと後席側に8インチのコマンドセンターと呼ばれるディスプレイも備わっており、このタッチディスプレイでエアコンの操作やシートポジションの調整、ドアの開閉、スマートグラスルーフの操作などが行えるようになっています。加えて、後席には12.6インチのディスプレイも備わっており写真からYouTubeなどのアイコンが確認できます。

前席横には操作ダイヤルもあり、ディスプレイをタッチしての操作が難しい場合に役立ちそうです。一方で物理的なボタン類はほとんどなく、インターフェイスが全てディスプレイの表示に依存している点はテスラから始まったミニマリスト的クルマのスマホ化の流れを強く感じます。

クルマのスマホ化・テクノロジー

さて、セレスティックはクルマのスマホ化という点でも最先端です。

例えば、コネクテッドカメラと呼ばれる機能では、盗難検出や衝突検知などの機能と共にオーナーがスマホのアプリを通してセレスティックの車内外カメラにアクセスして様子を見ることができます。また、Google built-inにも対応しており、GoogleマップやGoogleアシスタントなどお馴染みの機能を車内で利用することができます。

車体姿勢制御にもソフトウェア制御の電子システムが多数採用されており、ここまで来るとソフトウェアで車の乗り心地を変えることも可能でしょう。セレスティックに採用されている車体姿勢制御系のシステムは次のとおりです。

  • アダプティブエアサスペンション
  • アクティブリアステアリング
  • マグネティックライドコントロール
  • アドバンストAWD
  • アクティブロールコントロール
  • アクティブリアスポイラー
  • 可変レシオ電動パワーステアリング

運転支援システム ウルトラクルーズ

セレスティックは搭載する運転支援システムも超ハイテクです。

ウルトラクルーズと名付けられたシステムは自動運転のレベルこそレベル2に相当しますが、GMによるとなんと車での移動過程の95%でハンズフリーでの走行が可能だといいます。高速道路でのハンズフリー対応はもちろんのこと、市街路や街中の路地、当然郊外の道路を含めたほとんど全てがハンズフリーの対象だといいます。

これほどまでに高性能なウルトラクルーズを支えるテクノロジーも最先端です。レーダー、カメラ、ライダーといったセンサー類を20個以上搭載しシステムが車両の周り360度を見渡せるようになっています。それらセンサーの情報をハイパフォーマンスコンピュータで処理する仕組みです。また、ソフトウェアのアップデートで機能の更新も予定しているといいます。セレスティックに搭載されているウルトラクルーズのセンサー・コンピュータシステムは次のとおりです。

  • ステアリングコラム上に設置された赤外線カメラによるドライバーモニタリングシステム
  • フロントガラス上部中央に設置されたライダー
  • フロント、コーナー、両サイド、リアに設置された7個の8メガピクセルロングレンジカメラ
  • 車両の四隅に設置されたショートレンジレーダー
  • フロントとリアに計3つ設置された4Dロングレンジレーダー
  • クアルコム製の半導体(SoC)を採用したコンピューティングプラットフォーム

その一方で、ここまで高性能なセンサーやコンピュータを搭載しても自動運転レベル3としては発売されないというのは、いかに自動運転が難しいかということを物語ってもいます。

お値段と感想

セレスティックは1台づつカスタマーの要望に応じたハンドビルドで組み立てられ、一部の部品は3Dプリンタを使用してカスタムメイドされるそうです。トヨタの最高級車種センチュリーにも通ずるクラフトマンシップの最高傑作とだけあって、セレスティックのお値段はなんと34万ドルが最低価格となっています。日本円では2023年8月のレートで4800万円。この手の車を購入する客層はオプションを多数選択することが普通であることを考えると5000万円オーバーは確実と見られます。

トヨタセンチュリーどころかフェラーリやロールスロイス級の価格帯ですが、モデルのコンセプトは間違いなくソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)であり、テスラから始まったクルマのスマホ化が超高級車にまで浸透した最初の例だと思われます。間違いなく歴史に残る名車として語り継がれるモデルになることでしょう。

まとめ

  • セレスティックは、キャデラック史上最高級のソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)
  • フェラーリやロールスロイス級の価格帯で、クルマのスマホ化をコンセプトの中心に据えているEVである点が新時代到来を予感させる

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