2023年のヨーロッパ内年間自動車販売台数が発表されていました。12,847,481台を販売した2023年ヨーロッパ市場ではどのようなメーカーが高いシェアを持っているのでしょうか。
2023年ヨーロッパ・ブランド別自動車販売台数・シェアトップ10
早速、2023年欧州で新車販売台数の多かった自動車ブランド上位10位までを見てみましょう。販売台数とシェアの結果は以下の通りでした。
ランク | ブランド | 販売台数 | シェア |
---|---|---|---|
1 | フォルクスワーゲン | 1,357,139 | 10.5% |
2 | トヨタ | 828,484 | 6.4% |
3 | アウディ | 733,176 | 5.7% |
4 | BMW | 728,991 | 5.7% |
5 | メルセデス・ベンツ | 682,498 | 5.3% |
6 | ルノー | 681,023 | 5.3% |
7 | シュコダ | 680,153 | 5.3% |
8 | プジョー | 639,848 | 5.0% |
9 | キア | 572,297 | 4.5% |
10 | ダチア | 557,253 | 4.3% |
1位 フォルクスワーゲン
1位は地元ドイツの最大ブランドであるフォルクスワーゲンが、135万台超を販売して当然の欧州トップブランドとなっています。シェアは10.5%でした。
また、フォルクスワーゲンの中でも2023年に最も売れたモデルは小型SUVのT-Rocでした。
フォルクスワーゲンを代表するモデルであるゴルフは2番目に売れたモデルとなっており、まさにSUVブームを象徴する結果といえるでしょう。
2位 トヨタ
つづいて2位は、なんと年間83万台近くを販売したトヨタ(レクサス除く)でした。シェアは6.4%です。
日本車はヨーロッパにおいては思ったほど売れていないイメージもありますが、実際にはトヨタブランドの車は欧州でVWに次いで2番目に多く売れているという結果でした。
トヨタではVW T-Rocと同じように、小型SUVのヤリスクロスが2023年に欧州で最も売れたモデルだったようです。
3位 アウディ
3位に73万台を販売したプレミアムブランドのアウディが入ってくるのがヨーロッパのすごいところですが、実際2023年にアウディで最も売れたのは小型車のA3で価格帯的にも大衆向けのモデルではあります。
また、ヨーロッパでは企業が従業員に自動車を与える文化があり、この際にプレミアムブランドのモデルが選ばれやすいのもアウディなどの販売が伸びやすい理由になっているようです。
なおアウディのシェアは5.7%となっています。
4位 BMW
4位には、アウディと年間での販売台数の差わずか4000台でBMWが入りました。シェアは5.7%です。
BMWもフォルクスワーゲンやトヨタと同様SUVブームの流れに乗って、SUVのX1が2023年にヨーロッパで最も売れたモデルだったようです。
5位 メルセデス・ベンツ
3位アウディ、4位BMWと続いて同じくドイツのプレミアムブランド御三家からメルセデス・ベンツが5位にランクインしています。
ヨーロッパ年間販売は68万台とアウディやBMWに若干差をあけられており、市場シェアは5.3%となっています。
またメルセデス・ベンツにおける2023年の最量販モデルはAクラスとなっており、ベンツと言いつつも結局一番価格帯の低いモデルが一番売れているという結果でした。
6位 ルノー
トップ5はドイツから4ブランドと日本から1ブランドが入っており、ドイツ勢と世界ナンバーワン・トヨタが強さを見せた格好ですが、6位にようやく地元フランスのルノーが入っています。
5位メルセデス・ベンツとの販売台数の差はわずか1000台で、欧州で年間68万台を販売しました。シェアは5.3%となっています。
ルノーが2023年に最も売ったモデルは、小型ハッチバックのクリオでした。
なおルノーのEVおよびクルマのスマホ化戦略については、こちらの記事をご覧ください。
7位 シュコダ
7位には日本では聞きなれないチェコの自動車メーカー・シュコダがランクインしました。
フォルクスワーゲン傘下となっているシュコダは、6位ルノーとのヨーロッパ年間販売台数差がわずか900台とルノーやメルセデス・ベンツに匹敵する台数を売っていることになります。市場シェアは5.3%です。
またシュコダの2023年最量販車種は、親会社VWのゴルフなどともプラットフォームをシェアするオクタヴィアでした。
8位 プジョー
8位には日本でも人気のあるフランスのプジョーがランクインしました。
2023年ヨーロッパでの年間販売台数は64万台でシェア5.0%となっています。
プジョー・シトロエン・フィアット・クライスラーなどの大合併でできたステランティスのブランドから意地のトップ10入りとなりました。
プジョーの最量販モデルは、こちらも日本でも根強い人気がある小型ハッチバックの208となっています。
9位 キア
9位には57万台を販売してシェア4.5%となった韓国のキアが入りました。
ヒュンデに買収された子会社の立ち位置でしたが最近はヒュンデを上回るような勢いがあり、2023年のヨーロッパ市場でもヒュンデを超える販売を記録しています。
2023年に最も売れたモデルはSUVのスポルテージで、欧州専用仕様を特別に用意していることが成功要因かもしれません。
10位 ダチア
10位のダチアも日本では聞きなれないブランドです。
現在ルノー傘下となるルーマニアの自動車メーカーで、2023年のヨーロッパ市場では56万台近くを販売してシェア4.3%となっています。
ダチアの最量販モデルは小型ハッチバックのサンデロで、このモデルはなんと2023年欧州販売台数第2位の大ヒット車種であり、2023年ヨーロッパでサンデロよりも売れたのはテスラのモデルYだけでした。
2023年日系自動車ブランドの欧州販売ランキング
続いて、日系ブランドに絞って販売台数をランキング形式で見てみましょう。
ランク | ブランド | 販売台数 |
---|---|---|
1 | トヨタ | 828,484 |
2 | 日産 | 293,476 |
3 | スズキ | 187,344 |
4 | マツダ | 182,532 |
5 | ホンダ | 60,606 |
6 | レクサス | 60,286 |
7 | 三菱 | 42,823 |
トヨタ
日系ブランド1位は当然ヨーロッパ全ブランドのランキングでも総合2位のトヨタです。
トヨタはヤリスクロス、ヤリス、カローラなど日本でも人気の車種がヨーロッパでも順当に売れている以外にC-HRが4番目・アイゴが5番目の売れ筋モデルになっており、ヨーロッパ向けに開発されたモデルが全体の販売をけん引している格好になっているようです。
日産
続いて日系ブランド2位には29万台を販売した日産が入りました。市場シェアは2.3%です。
アメリカ、中国、東南アジアなどトヨタ・ホンダに続いて3番目に人気の日本車ブランドという位置に収まっている日産ですが、ヨーロッパでは堂々の日本車ブランド販売2位です。
トヨタと比較した日産の規模から考えれば、ヨーロッパで30万台近くを販売しているのは悪くない結果といえるのではないでしょうか。
特にSUVのキャシュカイが欧州では人気車種となっており、イギリスでは2022年に車種別販売台数1位になったほどです。
そのほか日本では販売が終了したジュークやマイクラなど、欧州向けモデルの販売が好調が故の日系ブランド欧州販売2位という結果につながっているようです。
スズキ
3位はスズキで年間販売台数は19万台と、こちらも悪くない成績です。市場シェアは1.5%です。
スズキはハンガリーに工場がありヴィターラやSクロスといった小型のSUVを現地生産しています。
スズキのヨーロッパにおける成功もトヨタ・日産同様に現地化の成果といえるかもしれません。
マツダ
マツダは2023年のヨーロッパ販売台数でスズキに5000台の差で日系4位となりました。
マツダはもともとヨーロッパ車に近いブランド戦略を取っていますが、ブランドの規模からすると年間18万台の販売というのは欧州での販売比率が高い日本車ということになりそうです。市場シェアは1.4%です。
マツダの中でもヨーロッパで売れているのは、Mazda 2 ハイブリッドやCX-60 プラグインハイブリッドなど電動化モデルのようです。
ホンダ
5位のホンダは欧州で苦戦していると言わざるを得ないでしょう。
アメリカや中国、東南アジアなど世界中の多くの地域でトヨタの次に売れている日本車はホンダですが、ヨーロッパに限って言えばまさかの日系第5位に沈んでおり4位のマツダにも3倍の販売台数差をつけられてしまっています。
2023年の販売台数も6万台ほどで、市場シェアは0.5%に沈んでいます。
イギリスとトルコの工場を閉鎖したため欧州での現地生産からも撤退してしまっていますが、今後はBEVのe:Ny1をはじめとした電動車で巻き返しを図ることになりそうです。
レクサス
6位には6万台を販売したレクサスが入りました。シェアは0.5%です。
フランスのDSが年間5万台の販売台数。イタリアのアルファロメオも同じく5万台。ドイツのポルシェが10万台となっており、価格帯は少し違いますがプレミアムブランドとしてレクサスの年間販売台数6万台という数字はヨーロッパでまずは一定の地位を確立できてていると言えるかもしれません。
売れているモデルはSUVのNXやRXのようで、イギリスの例では販売の99%が電動車となっておりSUV人気にハイブリッド人気が重なってレクサスの販売も急速に上昇しているようです。
また、イギリスの自動車紙Waht Car?に新モデルのLBXがカーオブザイヤーとして選出されるなど、今後も成長が期待されます。
三菱
7位の三菱は、販売台数が2022年比マイナス25%の4万3千台と欧州全体で最も販売が落ち込んだブランドという不名誉な結果となってしまいました。
三菱は欧州での挽回策として、アライアンスを組むルノーが立ち上げたEV新会社アンペアのプラットフォームを使ったBEV SUVの投入を2025年に予定しているようです。
三菱が使う予定のAmpR Mediumプラットフォームではルノーの小型BEV SUVであるセニックが開発されており、三菱のSUVもこれと似た車格のモデルになるかもしれません。
まとめ
- 実は欧州で2番目に多く売れている自動車ブランドはトヨタ。欧州市場シェアは6.4%。
- ホンダは世界の他の地域での人気から考えると欧州では不自然なほど販売台数で苦戦。
- 中国生産から撤退した三菱は、欧州でも苦戦している。
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